スパルタンレース ビースト
間違いなく過去1番キツかった。
僕は今までフルマラソンに出てみたり、京都まで歩いてみたり、様々なことに挑戦してきた。
スパルタンレースも、スプリント、スーパーとなんとか順番に順調にクリアしてきた。
その成功体験が自分を自惚れさせてきた。
さすがにビーストはレベルが違うだろうと、今まで出来なかった障害物をクリアしたいという気持ちでトレーニングを重ねてきた。
体重もかなり増やした。
そして挑んだ21km、30の障害物のあるレースに
完膚なきまでに叩きのめされた。
こうすれば良かったとか あれを使用ったら勝てたとか 一切の疑問の入る余地もなく 曇りもなく 真の敗北を与えてくれるのでは!?
敗北を知った。
直近でやれることは全てやった。出来なかったのは自分の心の弱さと肉体的弱さのせい。
次の機会があれば今度こそ完走する!
レース直後、わたし自身を忘れないように
レースの反省をわたしのiPhoneのメモそのものに 文字として刻みつけておこう
ふくらはぎ、太ももの疲労感
握力不足
8ftの腕力、背筋力
肺活量、筋持久力
おもりを引く筋力
走るための脚力
簡単にまとめると脚の筋持久力不足、腕力不足、肺活量不足、背筋力不足。
スパルタンレースの9割はランニングと言ってもいい。今回は夏のスキー場を駆け上り、駆け下る。
スタート直後に3km程の激坂を登る。すぐに苦しくなり、心臓は弾け飛びそうだし足はパンパン。
もっと走っておけばよかったなと思いながらも、坂道を走る練習はしなかっただろうから
どの道苦しいスタート。
これからは定期的にランニングし、時にはトレイルランのようなこともしたい。
3km程登り続けてやっと登りから解放かと思いきや、今度は降り。
スキー場の坂を板無しで降りることを想像してみてほしい。
そこらの坂とは比べ物にならない。
ぼうそうした 下り坂が ばくはつをおこす!
僕の膝は大ダメージを受けた。最近膝の調子がまあまあいいからなんとか助かった。
下り坂を降りるとヅケちゃんは消えていた。
彼は下り坂をまだ降りている最中だった。
おっと、ここで今回のイかれたメンバーを紹介するぜ!
脚力ゴリラのしゅn!
ほとんど何もできなかったヅケちゃん!
それと僕。
長い下り坂を抜けると障害物があった。
しかし目の前に広がるそれはかなりレースを進めないと挑戦できないものだった。
目の前にあるのに行けない。さながらゲームのよう。
そこからちょっとした坂を登り、降り最初の障害物へ。
消防士の訓練のような綱渡り。軽々できるものかと思いきやなかなかに自分の身体は重い。
ロープが脚に食い込み翌日アザになろうことは知る由もない。
ヅケちゃんはメンバーの中で唯一クリアできず、その様子は豚の丸焼きのようであった。
その後もスキー場を駆け登り、降りまくる。
最初は元気で写真を撮っていたが、だんだんとそんな気力もなくなってくる。
脚はガクガク言うし、腕も痛いし、苦しい。
前回精一杯やって難しかった障害物を少し楽にこなせた時は成長を感じられて嬉しかった。
しかし、前回出来なかった障害物は今回もやはり出来ないんじゃあないかと思うことも多い。
心が先に負けてしまう。実際、前回出来なかったものは今回も出来なかった。
少し準備を始めたのが遅かったのは分かってる。
でも、今回の為にジムに週3以上で通い、体重もかなり増やして筋肉量も増やした。
まだまだ僕には出来ないことも多い。その分成長の余白も多い。
また今日から頑張れば、次はできるかもしれない。
みんなそれぞれに頑張った。難しいことばかりだけれども、誰も諦めていないし、みんないい笑顔だった。
レースも後半に差し掛かると、体力の減りを激しく感じる。
レースの途中では水やポカリを提供してもらえるが、栄養食の提供はなかった。
僕はホノルルで買ったマラソン用のリュックに栄養食を5〜6食詰め込み、途中の給水所でもらった水の残りも詰めて走った。
ヅケちゃんもしゅn君もそういった持ち物を持っていなかったから後半は尚更に辛かったと思う。
僕のモノを分けてあげればよかったのかもしれないが、それほどの余裕は僕にはない。
疲労と空腹とに襲われる。
朝イチならクリアできたかもしれないものに叩きのめされる。
遂にヅケちゃんは倒れた。
居間でテレビを見るおじさんの様に心地良さそうにスキー場の上に寝そべっている。
そのあたりから僕にも元気はなくなり、写真はこれ以降何も撮っていない。
更にApple Watchの充電も切れてしまった。
フルマラソンでも切れたことのないApple Watchの充電が切れた。(Apple Watch ultraを買うしかないのか⁉︎)
それほどまでに過酷なレース。
挑戦するにはレベルがかなり足りなかったようだ。
精神的肉体的に叩きのめされても少し頑張ってみる。
レース残り時間も2時間あたりかと言うところで、まだ13kmほどしか進んでいないことに気がつく。21kmはあるレースだと言うのに、こんなにも頑張ったのに、まだ半分と少し…
やれるところまでやろうと頑張るが、心が弱っていると頑張る力もあまり出てこない。ヅケちゃんは定期的に居間へ転送される。
残り30分ほどになった時に、時間内にゴールしないと景品が貰えないから、ゴールに向かって下さいと案内を受ける。
無念。
悔しかった。やれることはやれるだけやったのに届かなかった。
ヅケちゃんを仮に置き去りにしたとしてもクリア出来なかっただろう。
圧倒的敗北を知った。
陸上経験が0でもフルマラソンを完走した。
東京から京都まで歩いた。
東京から鬼怒川までも歩いた。
それでも完走できなかった。
レース終了までにゴールに行かないといけない。
居間にいるヅケちゃんは悪いが切り離す。
彼を居間に残し、しゅn君とスキー場を降る。
思ったよりも身体は動いた。
なんとかゴールに辿り着くと、ベルトコンベア式にメダルとTシャツをもらい、ロープウェイに乗り込む。
高所恐怖症ではないので、ロープウェイから下を見てみる。
最初に走った道が見えた。
ゴールとスタートは同じ場所かと思っていたが、スタートは麓で、ゴールはスキー場の中間地点の様だ。
ロープウェイにかなりの時間乗っていたと思う。
よくこんなところまで登ったなと自分を褒める。
やっと麓のスタート地点へ着いた。
疲れた。ボロボロの身体をロッカーまで運び、荷物を取り出して、座れる場所を探す。
座れる場所を見つけそこに腰を落ち着ける。
今すぐにでも帰りたいのだが、置いてきぼりのヅケちゃんを待たなければいけない。
いくら待てど全く帰ってこない。
座っていると眠くなってくる。モバイルバッテリーにiPhoneとApple Watchを繋ぎ、それを握りしめながら少しうとうととする。
少し眠るとスッキリしたが、彼はまだ来ない。
かなり待ってやっと帰って来たが、聞けばゴール直後地べたで寝ていたらしい。
みんな揃ったので、ズタボロのまま駅まで歩く。
駅まで徒歩で30分もかかるのは厳しいが、少し前までスキー場を登り降りしていたこともあり平坦な道は楽であった。
駅までの道の途中でつけ麺を食べた。
お腹はぺこぺこなのにそれほど多くは食べられないらしい。
大盛りにしたのを少し後悔した。
帰りの新幹線でレースを振り返ってみる。
完膚なきまでに叩きのめされてしまった。出来なかったものは次への伸び代。また明日から日々を一生懸命に過ごし、身体を鍛え心を鍛えたい。